長く使える革製品を作るためには、丈夫な素材であることや丁寧で堅牢な作りが大切です。一方で、Munekawaが長く使える革製品を作るうえでもうひとつ大切にしていることがあります。
それは「シンプルである」ということ。

Munekawaでは、製品に必要な機能を見極め、それ以外の装飾や余計なパーツ、縫製をできるだけ省いたシンプルな形を心がけています。シンプルなデザインは飽きにくいうえ、故障につながる箇所も抑えられるため、変わらない使い心地を長く楽しめます。
そんなMunekawaの製品は、近年、海外のお客様からもご注文いただく機会が増えています。機能性を重視したシンプルなデザイン。そこには、国や性別を越えて伝わる、ユニバーサルデザインとしての革小物の魅力があるのかもしれません。
国や習慣を越えて伝わる、ユニバーサルデザイン
Munekawaが考える優れたデザインとは、形を見れば役割を想像でき、初めて手にしても自然に扱えるものです。使う人を限定するような仕様や過剰な装飾を控え、それぞれの暮らしに取り入れやすい形を目指しています。

Munekawaの製品はこれまでも、世代や性別を越えて幅広い方にお使いいただいてきましたが、最近は海外からのご注文や、旅行で日本を訪れた方の直営店へのご来店も増え、海外の方に関心を持っていただく機会が広がっていると感じています。
財布は、紙幣の大きさや、中に入れるもの、支払いのスタイルなど、地域や文化による違いが大きいもの。それでも、見やすいこと、取り出しやすいこと、持ち歩きやすいことは、多くの人に共通する使いやすさなのだと実感しています。
シンプルな構造は、誰にとっても使いやすい
シンプルな形の革製品は、初めて手にした人でも使い方に迷いにくいものです。形を見るだけで、どのように使うかを自然に想像できます。

L字ファスナー財布 Cramは、ファスナーを開くと紙幣、硬貨、カードが一度に見渡せる構造です。細かな仕切りで区切る代わりに全体が見える形にすることで、どこに何があるかを探す必要がなく、財布の向きを持ち替えずに紙幣、硬貨、カードのすべてを取り出せます。
現金中心の方にも、キャッシュレス中心の方にも、必要な現金とカードを無理なく持ち歩いてもらいたい。Cramは、そんな思いから生まれたミニ財布です。

Reduceは、世界中で長く親しまれてきた二つ折りの形を採用しています。そのため、初めて手にした人でも、どこに何を入れるか迷いにくい財布です。
内側はさらに、仕切りなどのパーツを極力減らし、札入れとカードポケットだけの構成にしました。パーツを減らした分だけ薄く仕上がり、シャツの胸ポケットにも収まるサイズで持ち歩けます。
どこに何があるか分かること。見れば使い方が想像できること。
シンプルな構造から生まれる分かりやすさは、年代や国・地域を問わず、誰にとっても心地よい使いやすさです。海外のお客様から選ばれている製品にシンプルなものが多いのも、この分かりやすさが言葉を越えて伝わっているからかもしれません。
「あって当たり前」の形や機能を、一度見直す
引き算のものづくりでは、財布に「あって当たり前」とされてきた形や機能も、本当に必要かどうかを一度見直します。

薄型ミニ財布 Wedgeは、先ほどのReduceを半分ほどの大きさにしたような、手のひらサイズの財布です。
収納は札入れがひとつと、カードポケットが3つだけ。カードは約3枚、紙幣は二つ折りで5〜6枚と、容量を「本当に使う分」に絞ることで、重さ約22gの軽さと、シャツやパンツのポケットにすっと収まる薄さを実現しています。スマートフォン決済が中心の方なら、これだけで足りる場面は少なくありません。

封筒型長財布 Encaseは、ファスナーやボタンなどの金具を一切使っていません。封筒のように革で中身を包む形にすることで、金具の引っかかりや故障の心配がなく、開け閉めも直感的です。
すべての機能を一つにまとめることが、誰にとっても便利とは限りません。必要な機能だけを残した製品の中から、自分の暮らしや支払い方に合う形を選べる。これも引き算のものづくりの良さのひとつといえるでしょう。
引き算は「必要なもの」を見極めること
Munekawaが大切にしている「引き算のものづくり」は、ただサイズを小さくしたり、機能を減らしたりしているわけではありません。大切なのは、毎日使ううえで何が必要かを考え、残すものと省くものを選ぶことです。

パーツや縫製箇所が増えると、一見より強度を増すように感じますが、裏を返せばそれだけパーツが外れたり、糸切れを起こす可能性のある箇所が増えてしまうことでもあります。
こうしたパーツ同士のつなぎ目を減らすことで、革本来の強度と張りを活かし、故障の可能性も抑えられます。

発売から長い年月が経った製品でも、見直していくうちに「ここの縫製はないほうが糸切れしにくくなるかもしれない」「内側の素材を変えると、もっと小さくできるかもしれない」と、さまざまな改善点が見つかります。
こうした気づきを大切にしながら、より使いやすく、よりシンプルにするための改善を日々重ねています。

もちろん、パーツを減らしすぎたり、小さくしすぎることで強度が落ちてしまっては意味がありません。
必要な強度を保つため、革の厚みは0.1mm単位で調整し、パーツが重なる箇所、負荷がかかりやすい箇所、持ったときの印象に影響する箇所に応じて、厚みを細かく変えながら設計しています。
「パーツを減らす」「シンプルに作る」というのは、実はとても高い技術が必要です。しかし、こうした強度と使いやすさのバランスを細部まで突き詰めることで、Munekawaが考える「良い革製品」が形になっていきます。
使う人を選ばず、誰もが長く付き合える革製品を作るために
パーツを減らすこと。シンプルなデザインにすること。暮らしに合わない機能を持たせすぎないこと。Munekawaの考える引き算は、見た目を簡素にするためではなく、革小物を毎日気持ちよく使い続けるためのものです。

シンプルな革製品は、使い込むほど革の表情が変わり、その人の暮らしになじんでいきます。年代や性別、国や地域を越えて、誰もが長く愛用できる革製品を、これからも作り続けていきたいと思っています。